こんにちは!たびなすびのちかです。
カトマンズは世界最高峰のヒマラヤへの玄関口として、世界中から観光客が訪れます。
ヒマラヤへのトレッキング目当ての旅行者も多く、体力勝負である旅のスタートを切る上で、美味しい料理は欠かせません。
それもあってか、カトマンズには世界各地のレストランが軒を連ねており、味のレベルもなかなかのものです。
中華に押され気味な和食
特に多いのは旅行者のたまり場、タメル地区。
手ぶらで着ても明日からトレッキングができるほど何でもそろう場所として、バックパッカーはもちろん、登山客にも重宝されているところです。
登山用品に雑貨屋さん、旅行代理店に両替屋、ピンきりの宿など、旅行者天国なのであります。
そして、なんといってもレストランとカフェの充実ぶりは、バックパッカーの聖地といわれるバンコクのカオサンにも引けをとらないほどです。
ネパール料理はもちろん、イタリアンにジャーマンカフェ、韓国、タイ、ベトナムに中華、そしてもちろん和食も!
日本人の旅行ブームはほかのアジア各国より古いためか、歴史ある超有名店もあるそうで、メニューも粋なのです。
ネパールカレーを横目に日本のカレーを食べられたり(しかもネパール人も食べている)、ナポリタンまで注文できたりと、「ここは神田の喫茶店かな?」と錯覚してしまうほどです。
そんな恵まれた環境であるにも関わらず、なんと私達はカトマンズの中華にハマってしまい、和食が目に入らなかった!
(→変わりゆくネパール、カトマンズの一角はほぼ中国と化していた)
ネパールは中国の四川省と近いため、その地方の中国人観光客の割合が多いそう。
そのため四川料理のお店が超充実しており、中国の観光地に行くより本格的な中華が激安で食べられるのです。
人生に刺激を求めている私は、やさしい和食には目もくれず、夜な夜な四川料理に舌を痺れさせていました。
恐ろしい…、チャイナ…
四川料理の破壊力
こうして四川料理を食べ続けていた私のお腹は…
爆・発・寸・前
「痛い…、痛い…」
お腹の様子がおかしい私。
夫「当然そうなると思ったよ。予想してた。」
私「長距離バスに乗るのが怖い…」
夫「だから、食べ過ぎないようにって注意したでしょ」
私「でも、あの真っ赤な汁が食欲をそそるんだよ。何でよし(夫)は平気な顔しているの」
夫「俺はご飯とかで、摂取量を調節してたからね。ちかみたいに、ビールで麻婆豆腐を流し込んだりしてないから。」
ちっ…、またもや自業自得で怒られた…。
四川料理がこんなに破壊力があるとは思わなかった。韓国在住者の油断…。
ひとしきり、お腹の中で大演奏会が行われた後、余韻を感じつつも落ち着きを取り戻しました。
演奏会も終わってみれば、寂しいもの。
不思議なもので、
お腹がすいてきます。
ラクシュミーだから「楽さん」
こんなときの私の味方は、なんといっても優しい和食。
なんか…、刺激がほしいとか言ってごめん…。
なんだかんだいっても、優しさって一番大事…。
お腹をさすり、反省しながらタメルの街を歩いていると、
『楽ーRAKU』
という真新しい和食屋さんを路地裏で発見。
「ここにしよう!」夫婦二人が珍しく意気投合し、早速中へ入りました。
「いらっしゃいませー」
中にいたのは、日本人の女性。
何、この安心感…。
「こ、こんにちは!」
「あら日本の方!いらっしゃいませ!どうぞどうぞ!」
朗らかな笑顔で迎えてくれ、早速席に着きます。
メニューは定食にどんぶり、おつまみもあり、お酒は日本酒までとなんでもござれ!
私はしょうが焼き定食、主人はから揚げ定食を注文。
すると、入り口から渋かっこいい長髪ネパール人が、入ってきました。
「あ、どうも~。いらっしゃい!すいませんね、ちょっと買出し行ってて。今作りますんで。」
まさかのナチュラルジャパニーズ!
聞くと、おかみさんと夫婦でお店を経営しているネパ日国際カップルなのでした。
シェフのお名前ラクシュミーさんの”ラク”を、漢字の”楽”にして屋号にしたのだそうです。
シェフの愛称も楽さん。
このお店は2014年にオープンしたそうで、私たちが訪れた2015年の念頭はまだまだピカピカ。
お腹に不安を抱える私は、何度かトイレをお借りしたのですが、ネパールトイレあるあるの簡易ウォシュレット(水が出るホース、これで洗う)がないのです。
そのことを楽さんに話すと、
「嫌でしょ、べちゃべちゃになるし、床。俺あれ受け入れらんないのよ。だからうちは付けてないの。」
また、ポカラ(ネパール第二の都市、カトマンズから200km)からローカルバスでカトマンズに来たというと、
「やめなよ~、何が起こるかわかんないからね~。結構落っこちてんだよ~、無事でよかったものの。」
これから日本に帰国する旨を話した際には、
「いいな~、こっちきてからろくに風呂も入れないからね~。温泉入りてえな…。」
夫「楽さん…。結構ジャパンナイズされてますけど、奥様の影響ですか?」
楽「いや、俺、日本住んでたのよ。35年。」
夫「さ、35年!」
楽「震災でさ、怖いってことでこっち戻ってきたんだけど、馴染めないのよ~。」
夫「私たちの日本在住期間より長いですね。ってか、楽さんいくつよ…」
見た目は思いっきりネパール人ですが、心はすっかり日本仕様になっているよう。
まさに日本の味!といった料理をほうばりながら、楽さんと日本への望郷の思いを語らったのでした。
その半年後、ネパールを襲った大地震(2015)。
心配で、楽さんにもらった名刺にあった番号に連絡してみると、元気そうな楽さんが電話口に出てくれました。
店は何とか無事、まちはまだまだ復興中だが早く旅行客に戻ってきてほしいとのこと。
しょうが焼きと温泉をみると、いつも思い出すネパール人となったのでした。
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