
冬のドブロブニクでのこと。
ある晩、「この中世の街に『コンタクト』というものが存在するのだろうか」と考えながら、ドブロブニクの旧市街を彷徨い歩いていた。切れてしまったコンタクトレンズの洗浄液が必要だった。
不思議だ。冬の夜だというのに、なぜか暖かい。正確には寒いのに温かい。
街に灯るやんわりとした白熱色が行き交う人々の副交感神経に刺激を与え、極上のヒーリング空間を演出しているからだ。
これがヨーロッパの冬なのか。
白い吐息舞う中世の街並みにオレンジ色の灯りが作りだす何とも言えないこの景観は芸術そのものだ。
SOBE<=民宿>を出てきた理由を忘れてしまうほど美しい街並みに見惚れ、だいぶ遠回りをして目的地の薬局に辿り着き、無事、洗浄液を手に入れた。