たびなすび日記

5回だけ投げて、潔く失敗を認め、その場を去る釣り人

9月9日。

日が沈む角度も日に日に西へとずれ、ペナン島北側に位置するバトゥフェリンギビーチで水平線に飲み込まれていく夕日が眺められるのもあとわずかとなってきました。

毎年、3月末から9月半ばまで。

それ以降は島の北西に突き出ている森のほうへと沈んでいきます。

この日はリビングルームの窓の外に夕暮れ空を一層美しく彩ってくれそうな薄い雲がみえたので、カットフルーツを深めのジプロックに入れ、ちかを連れて、急いで家を出ました。

家を出たのが18時45分、日没は19時20分ごろ。

家のあるタンジュントコンエリアから、バトゥフェリンギビーチまでは車で15分ほどですが、1本道なので渋滞してしまったら、日没に間に合いません。

エレベーターで駐車場のあるフロアに降り、車でコンドミニアムの外へ出ると、霧雨と風。

強風に煽られながらも耐える街路樹たちに「今日ビーチに行くのはやめとけ」と言われているように感じました。

「ちか、ビーチ行き、やめよっか。風、めっちゃ強いし。」

「オッケー!私は別に車の中でフルーツ食べたいだけだし〜、でも、どっか連れてってくれるんでしょ〜?」

マラッカ海峡に沈む夕日は諦めました。

右折する予定だった道を左折し、地元の釣り人が集まるE&Oホテル横のビューイングエリアへと向かうことにしました。

霧雨と強風のせいか、いつもいる釣り人たちは一人もいません。

僕たちも外には出ず、車の中で、持ってきた梨とオレンジを食べながら、空が彩られるのを期待して、ブルーアワーを待ちました。

5分、10分とマレーシアのFMラジオを聞きながらぼーっとしていると、フロントガラスの前に釣り竿と小さな赤いクーラーボックスを手にしたマレー系のおじさんが一人やってきました。

釣り竿を風に戻されながら、1回、2回。全く釣れそうにありません。

強風で海も荒れ、おじさんの帽子も飛んでいきそうだったので、外に出て話しかけてみました。

「おっちゃん、今晩のおかず?風すごいね。帽子飛びそうだよ。」

「う〜ん、来てみたけど、ダメだな、今日は。」

そう言って、釣り竿をもう3回だけ飛ばして、5分もしないうちに、去っていきました。

「今日はダメだった」と、失敗を認める潔さがカッコよかったです。

挑戦して諦めずに継続することも大切ですが、失敗だったと判断し、損切りするタイミングも難しいですよね?やめたほうがいいとわかっているのにやめられないことはありますか?
この記事を書いた人
YOSHI
17歳のときに「深夜特急(沢木耕太郎)」と「青年は荒野をめざす(五木寛之)」に出あってから、これまでの人生、迷うことなく突っ走っています。