
2025年3月
バンコクに来ると、気づけば足が向かっている、そんな場所があります。
Central World
最初に訪れたのは、まだ学生だったころ。Merry V(地図)というゲストハウスで出会ったふたつ年上の旅人が「セントラルワールドに入ってる伊勢丹のトイレはきれいでいいよ」と教えてくれたのがきっかけでした。
バックパッカーが利用する安宿はトイレとシャワーが共有であることもあり、順番待ちの気配を感じながら慌ただしく済ませるしかありませんでしたが、カオサン(安宿街)近くの民主記念塔からバスで30〜40分ほど揺られるだけで、落ち着いて用が足せる場所があると聞きました。そうして路線番号2番の赤バスに乗り、何度も往復するうちに、すっかり馴染みの場所となったのがセントラルワールド。
旅先で出会うものすべてが刺激的だった当時、東南アジアの安宿ばかりを渡り歩いていた僕にとって、清潔なトイレやエアコンの効いた快適な空間は、ただの便利さ以上のもので、それさえも強く記憶に刻まれていました。
恐らくそのせいで、何年もの時を経た今でも、バンコクに滞在すると無意識にセントラルワールド方面へ足が向かってしまいます。今回もまた。
すでに伊勢丹はなくなり、街の景色もだいぶ変わりましたが、道路を埋め尽くす車の波や、信号が青に変わるたびに響くトゥクトゥクのエンジン音は今も変わらず、その喧騒に包まれると、バンコクに戻ってきたのだと実感します。
ー 特別な目的があるわけではないのに、ただ確かめるように訪れてしまう、そんな場所があなたにもありますか?ー