ボルネオ島にあるマレーシアのコタキナバルで、なんと英語オンリーでダイビングのライセンス講習を受けることになった私たち。
とはいえ、いくらなんでも理論までは英語で全てを理解することができません。
今はとっても便利なe-ラーニングというネットで学べる講座があるので、まずそれを在宅で日本語で学習しテストを受けます。
本にするとタウンページぐらいの量があるので、1週間くらいかかりテストに合格しました。
「中性浮力」「減圧症」「残圧計」「圧平衡」など今まで使用したことのない言葉もばっちり覚えましたが、その後の現地実習中は一度も耳にすることはありませんでした。
なぜなら全て英語だから…。(泣)
ダイビングなめたらあかん
ダイビングのライセンスには2つの段階あります。
第一段階『オープンウォーターダイバー(OWD)』コース…最大水深18メートル
第二段階『アドバンスドオープンウォーター(AOW)』コース…最大水深30メートル
海外のリゾートでは第一段階のオープンウォーターでは潜れない深い海がたくさんあり、今後ダイビングを趣味としていくなら第二段階のアドバンスが必須です。
しかも一気にとれば時間も費用もちょっと節約できるので、余裕がある人は一回でアドバンスまでとってしまう人もいるのだとか。
その場合、全部で約5日間かかりさらに覚えることも多いため大変なので、ダイビングが自分に本当に合うか確かめてからどこまで申し込むか決めたほうがよさそうです。
だって本当に大変でしたから。(涙)
10代で競泳選手生活を送っていた私ですが、アドバンスの前に泣きながら帰りたいと懇願したほどです。
水泳ができるのと、ダイビングが上手なのは全く関係ありません!(キッパリ)
インストラクターは地元のヤンキー風
ダイブショップまでは毎日送迎がついており、大体朝8時にホテルを出て、午後4時に戻ってくるという一週間でした。
ダイブショップはイギリス人が経営しているためか、講習生や客のほとんどはヨーロッパ系。
経営者はイギリス人であるものの、ほとんどのインストラクターは現地のマレーシア人でした。もちろん日本人も日本語も皆無。
もう、ドッキドキです!
私たちのオープンウォーター講習を受け持つことになったのは、中華系マレーシア人のカルビン先生。
背中に羽が生えており(タトゥーともいう)、20代のヤングマンです。
彼の英語がまた早い早い!
更に追い討ちをかけるように華僑訛りなので、抑揚がよくわからない。
例えば「オープンウォーター」のイントネーションが、
「オー(↓)プン(↑)ウォー(↓)ター(↑)」
声調付き!
とはいえネイティブの方々は問題なく意思疎通をしているので、最大の妨げとなっているのは私の根本的な英語力ですけどね。
先生は問題なくペラペラです。
ここまできたら何とか切り抜けなければなりません。
まず、もてる限りのあらゆる英語に関わる能力を発揮できるよう集中し、先生には「英語そんなに得意じゃないからゆっくりお願いします」と懇願、さらに夫に正しい解釈かどうか確認。
これを何度も繰り返し、何とか陸上のコミュニケーションは遂行できました。
講習プール?なにそれおいしいの?
が、問題は語学力ではありませんでした。
オープンウォーター講習では、水中での動作や器材の装着や点検などを自分でできるように訓練します。
まずプールで器材の使い方や、不意の出来事により外れた場合の水中での取り付け方法を学ぶとのこと。
…ここ、プールありませんけど?
するとカルビン先生、桟橋に待機していた私たちに「降りろ」と一言。
獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす
さすが中華系!(関係ない)
巨人の星のイントロが頭の中で流れ、歌い出しのタイミングでいざ入水です!
おもい~~こんだ~~ら、しれんの~み~ち~を~ …ザバーン!!
「カムヒアー」
10メートルほど先の水面で先生が呼んでいます。
「これから身体を固定して実習するから海底まで潜るよ。ちなみに水深12メートル。レッツゴー」
えええええ!
初日なのに水深12メートル?
とアワアワいっている間に皆ブクブク潜っていきます。
出遅れるのはもっと怖いので、ついていかなければなりません。
ブクブク…
ブクブクブク…
ブクブクブクブク…
沈まない(泣)
おーい!待ってよーーー!
と思っていると、右足がグイッと引っ張られました。
先生!!!
よかった…、ただの地元のヤンキーみたいだけど仕事はできるみたいです。ほ。
そんなこんなで、何とかたどり着いた水深12メートル。
海底にひざ立ちしているのですが、姿勢を維持するだけでも初心者には一苦労です。
水の流れで身体はいとも簡単に左右にゆれ、呼吸量ですぐに浮き上がってしまうからです。
実は非常に真面目にe-ラーニングで勉強してきたため、潜れば潜るほど危険と隣りあわせだということも頭に叩き込んでありました。
水深12メートルにいる現在は12メートル分の水が自分に圧力をかけているのです!こわいー。
さらに鼻呼吸ができないため、頭はボーっとしてきて閉塞感まで感じてきたような…
その時!
バッ!バッ!バッ!バッ!
ゴーグルがずらされた!!
そう、これが一つ目の実習なのです。
水中でゴーグルがずれたとき、レギュレーター(酸素を送り出す装置)を使ってゴーグル内の水を取り除く作業です。
これ、本当はプールでやるんですけどね。
ただでさえ姿勢を保つのも大変で、さらに水深12メートルという精神的プレッシャー、閉塞感のなか更に視力まで失うとプチパニックになります。
パニックなので、教えられたように酸素をゴーグル内に送り込んでもうまくいかない。
何度くりかえしても水が残ってしまいます。
10回は繰り返したでしょうか。まだ少し水が残りますが、もういいだろうと全身で先生に勘弁してほしいと訴えました。
『×』
と両手を交差するカルビン先生。
プールがあればこんなに苦労しないんだよ!と心の中で悪態をつきながら、残った海水なんだか涙なんだかわからなくなりながら、そのご数回繰り返しなんとか合格。
初日からこの有様で、何とかなるのでしょうか。
ヘトヘトになりながら初日を終え、その日はそうそうにベッドに入ったものの、気分はまるで五月病の新入社員のようにどんよりとしていたのでした。
明日行きたくないーーー(泣)
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