「やっほー」は一人一回まで|錦帯橋, 山口県岩国
2025年10月
山口県の岩国で思いがけずやさしい時間に出会いました。
僕たち夫婦が訪れた10月の岩国は、空が高く、まさに秋晴れ。錦帯橋は、青空に散らばる白い雲にふわりと架かっているよう。平日だったからか、観光客の姿はまばら。橋は正直、写真で見るよりも、実物のほうがずっと頼もしく感じられました。
この日は錦帯橋だけを見て、下関、北九州の小倉へ向かうつもりでしたが、橋を渡る途中、ふと山の上にそびえ立つ岩国城が目に入り、「せっかくだし」と、そのままロープウェイに乗って城まで上ってみることに。
ロープウェイを降りると、そこには小さな広場(城山交流広場)と、園児たちの弾む笑い声。
「えっ、何、この平和すぎる風景…」
広場を見て、思わず妻にそう言いました。
岩国城をひととおり見て、再びロープウェイ乗り場に戻ると、さきほどの園児たちが、まだ広場にいます。
そして、一人が柵に手をかけ、「やっほー」と叫びました。すると、ほかの子たちもつられるように声を出しはじめます。
「やっほー!」「やっほー!」
眼下の川のほうへ向かって、元気よく何度も声が飛んでいきます。
ロープウェイ乗り場で並んでいた大人の誰かが「かわいいね」と言い、そこにいた全員が小さくうなずきます。
天気のよさと、ひらけた景色、子どもたちの無邪気さ。これ以上、何を足せばいいのか分からないくらい、心地よい組み合わせ。
一方で、園児たちを見守る先生たちは、少しだけ様子をうかがっているようでした。ロープウェイを待つ観光客への配慮が、その立ち姿から伝わってきます。まったく気にならないのに⋯。
しばらくして、先生が子どもたちにやさしく声をかけました。
「みんな、じゃあ『やっほー』は一人一回ね!」
瞬時に妻と目を合わせました。「先生、斬新だね」と。
「そろそろやめなさい」と押さえつけることなく、ルールを示して、その場をきれいに鎮めていきます。園児たちは先生の言葉をきちんと守り、一人ずつ「やっほー」と声を放って、満足そうに広場へ戻っていきました。
ロープウェイは、また静かに動き出しました。
子どもたちの声は、少しずつ遠ざかっていきます。
錦帯橋が目的で訪れた岩国で、いちばん深く記憶に刻まれたのは、「一人一回」をちゃんと守りながら声を放った、子どもたちと先生の姿でした。
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