
2025年6月某日
街がヘイズに包まれた日の午後、旅仲間のひとりがペナン島に遊びに来てくれました。
ボウズくん。
彼と出会ったのは、2001年の冬。シリアの砂漠に佇むパルミラ(地図)で、夕焼けに照らされた遺跡がその壮大さを示すかのように伸びる影の中でした。

石柱の間ですれ違いざまに短く言葉を交わしただけでしたが、彼の泊まる宿を聞き、フロントに「よかったら一緒に食事でも」とメモを残したのが、縁のはじまりです。
それ以来、年に一度は顔を合わせるようになりました。今回、そんなボウズくんが、僕たちの暮らすペナン島にやってきました。
なんと5回目の訪問です。
ペナンで会うたびに、つい「せっかくの休みなのに、またペナンでいいの?」と聞いてしまうのですが、ボウズくんは「ペナンはほっとするんだよね」といつも変わらず言います。今年は8月にペルーにも行くらしく、今回もペナン訪問は少し肩の力を抜いた、そんな旅だったようです。
仕事では責任ある立場にありながら、今でも旅を続けているボウズくんとの再会は、いつもながら旅のスタイルです。日中はそれぞれ気ままに過ごし、夕食の時間になったらふらりと合流する。そんなゆるやかな距離感で今回も数日を過ごしました。

ボウズくんは何度もペナンに来ているだけあって、グルメ情報にも詳しく、僕たち夫婦が知らないようなお店をさらりと教えてくれたりするので、今回は彼の注目リストには入っていなかったアラブ料理を攻めてみることにしました。
シリアで出会った僕たちにとって、中東の料理はどこか懐かしく、当時の旅を思い出させる味です。

パルミラで彼とはじめて出会ったときは、ふたりともまだ大学生で、旅先にいる若者らしく「将来の夢は?」なんていうまっすぐな会話を、恥ずかしげもなく交わしていました。
最近はお互いどこか心地よい場所に落ち着いてしまっている気がして、そろそろまた、中東を旅したころのように、ちょっと無理をしてでも、自分を揺さぶるような挑戦が必要なのかもしれないと思うようになりました。
この心地よさから抜け出すには、まずは小さな変化から。
とりあえず、20代の頃から外見がまったく変わらない彼に、少し変わってもらう。髪型も体型も服装も、当時のまま。あまりにも変わらなさすぎて、まるで時間だけが彼を通り過ぎていっているようです。
だから、まずは、ボウズくんにはほんの少し太ってもらうか、あるいは、髪を伸ばしてもらうか。そのあたりから。
年に一度は会う機会があるのだから、そのたびに彼の見た目が少しでも変わっていたら、僕にとっても、新しい挑戦のきっかけになるかも。きっかけは、他力本願で。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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ご訪問ありがとうございます、たびなすび(プロフィール)です。現在、マレーシアのペナン島を拠点に生活しています。このブログでは日常の小さな気づきや、心に残った旅の瞬間などをお届けしています。このブログが新たな冒険や発見のきっかけになれば嬉しいです。「住みたくなるようなお気に入りの街」を探す旅に出てみませんか?